オペラハウス側面 

鎮武観
Đền Quán Thánh
~ ハノイの北の鎮守 ~

 
撮影:2013年6月1日 

鎮武観(ちんぶかん)は、ガイドブックにも必ず道教の代表的寺院として紹介されている観光スポットで、多くの外国人観光客が訪れます。
 「鎮」の字には「鎮(しず)める」の意味があり、ハノイの都を北からの敵=中国から守る鎮守として人々の信仰を集めてきました。祀られているのは玄天上帝(げんてんじょうてい)という北方を守る道教の神様で、「玄」には北方と言う観念があり、中国では「水」につながる意味も持ちます。殿内の解説には、浄楽国の王子が武当山(中国湖北省)で悟りを得て玄天上帝となって後、このベトナムの地に来て、西湖に棲む九つの尾をもつ狐の妖怪を退治し、ここで亡くなったため、玄天上帝に感謝し崇拝するための寺を建てたとあります。これは、古代ベトナムの伝説『嶺南摭怪(れいなんせきかい)』の『狐精伝』に由来するものです。                
 
しかし、実際鎮武観がいつできたかはよくわかっていません。11世紀リー(李)朝の時代であると言われていますが、確かな資料がでてくるのは15世紀になってからで、『大越史記全書』には当時の後レー(黎)朝の第5代皇帝レー・タイントン(黎聖宗)が城の拡張の際、ホータイ(西湖)の東南である現在の位置に移築したとあります。
 また当時の中国(明)から持ち帰った学問を司る道教神である文昌帝君像を、官僚の登用試験である科挙の神様として合祀しました。受験者達は毎月1日と6日に参拝した後ここに泊まって、その夜見た夢で合否や将来の出世を占ったそうです。

通りに面した鐘閣には入り口が三つありますが、真ん中だけが使われており、そこで入場券を買って入ることが出来ます。庭の大きなマンゴーの木陰でホッと一息つきましょう。
 本殿の前には「ヌイノンボ(仮山)」があります。
 

境内は、たくさんのマンゴーの木で日差しが遮られる。
撮影:2013年6月1日


 一対の象
撮影:2011年11月21日


 
 本殿の前には、ヌイノンボ
撮影:2011年11月21日

     
 鼠とぶどうのモチーフの扉   立体的で大変精緻な銅製の装飾品
(右下の方に「光緒」の年号が見られる。) 
 撮影:2011年11月21日

その向こう側、本殿の正面上から吊り下がっている細かい彫刻の施された銅製の装飾品は、「光緒」の年号から中国は19世紀後半の清時代の物と分かります。また、扉にも注目して下さい。これも中国からの物ですが、鼠とぶどうのモチーフが逆さにはめ込まれているのがユニークです。

 殿内の様子

 
 色彩豊かな2002年当時
撮影:2002年7月9日


参考資料: 『歩こうハノイ⑤ チュックバック湖畔を歩こうう』 ハノイ歴史研究会 2002

 

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