チョロン(Chợ Lớn) - ベトナム最大の華人街


チョロンとは、ホーチミン市の行政の中心から5㎞ほど南西の、ホーチミン市第5区を中心とした華人が多く居住するエリアの通称です。明朝(中国)崩壊後、17世紀末にその遺臣らがベトナムへ逃れてきた時、ベトナム中部を支配していた広南グエン氏が、南部のビエンホアやミトー(メコンデルタ)に華人を入植させたのが始まりです。その後、彼らは現在のチョロンのエリアに定住し、市場を開き、米の流通などに従事しました。市場は大きく発展し「大きな市場」という意味の「チョロン」(チョ=市場、ロン=大きい)と呼ばれ、その後、街全体の呼び名となりました。市場は初め、現在チョロン郵便局があるあたりに造られましたが、手狭になり、6区の現在の場所に移設されビンタイ市場と呼ばれています。彼らは同郷の人々が集まる「会館」を建て、信仰する守護神を祀り、助け合い、伝統文化や慣習を守ってきました。現在も多くの会館や廟、宗教施設などが残され、街にはベトナム語と共に漢字を掲げた看板が溢れています。豪華な装飾の会館などは、彼等の経済力の大きさを感じさせます。フランス植民地時代とその後の南ベトナム時代、チョロンは商売の一大中心地として栄えました。しかし1975年にベトナム戦争が終結し南北が統一されると、南部の社会主義化が進められ、私有財産の没収や私企業の国有化などにより経済活動は大きく制限を受けました。さらに1979年の中越紛争による中越関係悪化により多くの華人がベトナムを離れました。しかし1986年以降、ドイモイ(刷新)のスローガンのもとで市場経済が導入されたこと、また中越関係が改善されたことで、チョロンの華人人口も徐々に回復し再び活気を取り戻しました。



 天后媽祖廟(霞彰会館) Hội Quán Hà Chương
福建省東南部・漳洲地方の人々によって建てられた。
航海の守護神・天后聖母(媽祖)(Thiên Hậu Thánh Mẫu)を祀る。
所在地: 802 Nguyễn Trãi, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日
温陵会館 Hội Quán Ông Lăng
1740年、福建省東南部・泉州地方の人々によって建てられた。
泉州は、別名、温陵とも呼ばれる。
天后聖母(媽祖)、観世音菩薩を祀る。
所在地: 12 Lão Tử, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日
 


二府廟 Hội Quán Nhị Phủ / Nhị Phủ Miếu
1730年、福建人によって建てられた。
土地の守護神・福徳正神(Phúc Đức Chính Thần) を祀る。
所在地: 264 Hải Thượng Lãn Ông, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日
 
 
三山会館 Hội Quán Tam Sơn
福建人によって建てられた。天后聖母を祀る。
所在地: 118 Triệu Quang Phục, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日


 天后廟(稲城会館)
Chuà Bà Thiên Hậu (Tuệ Thành Hội Quán)
広東人の廟。チョロンの中でもひときわ立派な建物。
天后聖母(媽祖)を祀る。
所在地: 710 Nguyễn Trãi, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日
関帝廟 Hội Quán Nghĩa An
潮州人によって建てられた廟。関羽を祀る。
所在地: 676 Nguyễn Trãi, quận 5 HCM
撮影:2015年3月25日
 


 明郷嘉盛会館 Đình Minh Hương Gia Thạnh
明郷とは、明の滅亡前後にベトナムに移住した中国系の人々、
またその子孫。
彼らによって1789年に建てられた会館。
所在地: 380 Trần Hưng Đạo, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日
 チャータム教会 Nhà Thờ Cha Tam
1902年築。
チョロンの華人信者のために建てられたカトリック教会。
教会を建てた司祭の名をとりチャータム教会と呼ばれるが、
正式には聖フランシスコザビエル教会。
所在地: 25 Học Lạc, quận 5, HCM
撮影:2015年3月25日


  ビンタイ市場 Chợ Bình Tây
1930年築。
中国と西洋の折衷建築で、正面中央の時計塔は寺院のような屋根。
所在地: 57 Tháp Mười, quận 6, Hồ Chí Minh
撮影:2003年5月1日
 








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