ダウ寺
Chùa Đậu

~ ベトナム仏教初期の 法雨仏を祀る ~

 
 ダウ寺の三関門
撮影:2014年4月9日
 

この寺には、ベトナム仏教初期の、仏教とアニミズム(万物に霊が宿るという信仰)、さらに女神信仰が結合してつくられた法雨仏が祀られています。仏像は女性の姿をしており、「バーダウ( Bà Đậu 婆豆)」と呼ばれ、そのためダウ寺の名で呼ばれていますが、正式名は、成道寺(Thành Đạo tự)または法雨寺(Pháp Vũ tự)といいます。 

<創建>
 この寺に伝わる後レー朝後期(15331789)に作られた銅板製の冊子には、後漢時代の交趾太守であった士燮(ししょう 137?~226)により、ザウ寺(Chùa Dâu バクニン省)から法雨仏を分祀したと記されています。しかし一方、やはり寺に現在も残る1639年(陽和5年)の「修造法雨寺碑」には、李朝期(10101225)に建立されたと刻まれています。

 <門・本堂・祖師堂>
 楼閣を兼ねた三関門があり、タイソン(西山)期の1801年鋳造の鐘が吊り下げられています。門の内側には広場があり、その奥に、「内工外口形」の大規模な伽藍が広がっています。中央の「工」字形の建物に法雨仏や釈迦如来などが祀られ、周囲の「外口」にあたる部分に、護法や徳翁、羅漢像などが安置されています。本堂の背後には祖師堂があり、17世紀にこの寺の住職だったトゥ・ダオ・チャン(Tự Đạo Chân 徐道真)とトゥ・ダオ・タム(Tự Đạo Tâm 徐道心)の即身仏が祀られています。 

<寿庵>
 本堂に向かって左側に、「寿庵」と名付けられた、趣のある小ぶりのお堂があります。須弥壇には仏像が安置され、脇の祭壇には、観音様や誕生仏の小さな石像が祀られています。

     
 前堂
(護法が祀られている。)
撮影:2014年4月9日
三関門
撮影:2014年4月9日 


     
 護法
撮影:2014年4月9日
 


   
   法雨仏
”バーダウ”とも呼ばれる。
撮影:2014年4月9日


    
 祖師堂
撮影:2014年4月9日
住職トゥ・ダオ・タム
Tự Đạo Tâm 徐道心)の
即身仏
撮影:2014年4月9日
 


     
 1639年(陽和5年)の
「修造法雨寺碑」。
「李朝」の文字が見える。
撮影:2014年4月9日
 内工外口形の建築
「工」字形の建物(左側)を、「外口」形の建物が囲む。
撮影:2014年4月9日


 寿庵
撮影:2014年4月9日
 


      
寿庵に祀られている、六肢観音(Quan Âm Lục Chi)(右)と
”Đức Phật”と記された仏像(左)。
参拝者が撫でるためか、部分的に色が濃くなっている。
撮影:2014年4月9日
 


 
 三関門の前で、野菜を売る地元の女性達
撮影:2014年4月9日
 

 

所在地:ハノイ市トゥオンティン県グンチャイ社ザーフック村
      thôn Gia Phúc, xã Nguyễn Trãi, huyện Thường Tín, Hà Nội

(ハノイ中心部から車で約40分。国道1号線を南下し、鉄道のトゥオンティン駅を過ぎたら間もなく右折。)





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