ケオ寺
Chùa Keo

 
ケオ寺の鐘楼
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省

 美しい鐘楼で有名なケオ寺は、ハノイから南東へ約90㎞の、タイビン省のホン(紅)河近くに位置しています。言い伝えでは、李朝時代の高僧・空路禅師(Thiền Sư Không Lộ)によって1061年に、ホン河岸のザオトゥイー(Giao Thủy)という所に建てられました。当初は厳光寺(Nghiêm Quang Tự)と言いましたが、1167年、神光寺(Thần Quang Tự)と改名されました。しかしザオトゥイーの地は一般にケオ(keoと呼ばれたため、寺もケオ寺と呼ばれました。鄭氏の時代の1611年にホン河が氾濫、寺のあった村が浸水し、寺も崩れてしまいました。そのため村人は、ホン河の左岸と右岸へ分かれて移り住みました。ホン河の左岸に再建されたのが、現在タイビン省に位置するこのケオ寺です。再建の時期は、1632年に建てられた石碑に、1630年から1632年と刻まれています。再建に尽力したのは、宦官ホアン・ニャン・ズン(Hoàng nhân Dũngの妻であるライ・ティ・ゴック・レー(Lại Thị Ngọc Lễ)です。(ホン河の右岸に移住した人々によって建てられたケオ寺は現在ナムディン省に位置しています 。)

寺は広大な敷地をもち、三関門が二つ設けられ、外側と内側の門の間には池が配されています。内側の三関門には、後黎朝時代の17世紀に作られた高さ2m、幅2.6mの木製の扉があり、母と子の龍が刻まれています。内側の三関門をくぐると、前庭をはさんで「工」字形の本堂があります。本堂の前には、1632年の石碑があります。本堂には、涅槃仏や准胝(じゅんてい)観音、文殊菩薩、普賢菩薩などが祀られています。本堂の背後に、空路禅師を祀る祖師堂があります。

 そして、境内の最も奥まったところに鐘楼があります。11mの高さ(高さ14mとする資料もあります。)で3層の屋根を持ち、2階に1686年鋳造、3階とその上に1796年鋳造の梵鐘がそれぞれ吊り下げられています。鐘楼の裏手には住職の墓塔や畑があり、また本堂や祖師堂は回廊に囲まれています。再建後400年もの間、幾度も修復を繰り返して来ましたが、現在の建物は、後レー朝時代の建築の特徴をとどめています。

 ケオ寺では毎年、春祭りが旧暦14日、秋祭りが旧暦91315日に開かれます。

    
  外側の三関門
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
  池の縁に立つホアガオの木
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省


   
内側の三関門と池
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 
 


   
  扉に刻まれた龍。左右の下に子供の龍が描かれている。
(内側の三関門の扉)
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 


     
  1632年の石碑
後黎朝神宗帝の時代の元号「徳隆」と、
1632年を示す「壬申」の文字が刻まれている。
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
本堂内部
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 


    
堂々とした護法(本堂)
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 
本堂内、中央の祭壇
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 


    
  本堂内、脇の祭壇
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
「工」字形の本堂
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 


    
  祖師堂
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
  空路禅師を表す「李世国師」の文字
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省


    
  鐘楼
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 


    
屋根の妻部分の装飾
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
ケオ寺見取り図
本堂や祖師堂は回廊に囲まれ、
その外側は更に池で囲まれている。
撮影:2014年12月25日
場所:ケオ寺、タイビン省
 





所在地:タイビン省ヴートゥー県ズイーニャット社
      Xã Duy Nhất, huyện vũ Thư, tỉnh Thái Bình



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