ハノイ歴史研究会
2015年 知ろうベトナム!講演会

 日時  2015年12月17日(木)  9時半~11時45分
 史跡めぐり  ベトナム女性博物館
 講師  大西和彦先生
 住所  36 Lý Thường Kiệt 
ベトナム女性を様々な側面から紹介するユニークな博物館です。1階のテーマは「結婚と出産」、そして「聖母道信仰」です。民族ごとに異なる結婚の習慣や、出産・育児の危険を乗り切る伝統的な工夫がわかります。聖母道は、3人の女神を祀るベトナム独自の民間信仰で、現在も霊媒による儀式が頻繁に行われています。17世紀のこの女性神の隆盛は、日本人をはじめとする外国商人の“ベトナム人妻”たちの経済力によるものだったことなど、背景にある社会状況も解説していただきました。2階は政治や戦争で活躍した女性たちの展示です。夫や子供を戦場で失った、数多くの「英雄の母」たちの写真には胸が痛みます。3階は服飾史で、特に少数民族の衣装の手の込んだ装飾は見飽きません。
展示がわかりやすく、ベトナム語だけでなく英語・フランス語の解説も整っています

 日時  2015年11月19日(木)  9時半~11時45分
 史跡めぐり  ブッタップ寺 Chua But Thap
 講師  大西和彦先生
  住所   バクニン省
 
   鄭氏玉竹と黎氏玉縁の像
(本来安置されている祀府が改修中のため、一時的に中堂に置かれていた。2015.11.19撮影)

 ブッタップ寺は、ハノイから東へ約30キロほどの田園地帯に建っています。陳朝(1225-1400)初期の建立と伝わりますが、現在の伽藍になったのは17世紀、時の権力者鄭壮の娘・鄭氏玉竹の請願で国家事業として大規模な修築が行われてからです。寺のシンボル「報厳塔」をはじめ建築様式や装飾の彫刻にも見所が多くありますが、やはり仏教美術の傑作といわれるいくつかの彫像に注目が集まりました。1656年に作られた千手千顔観音は精緻な作品で、作者名が刻まれている点でもベトナムでは稀有な存在です。寺の修築を行った鄭氏玉竹、黎氏玉縁の像は、高貴な女性らしい凛とした姿が印象的です。この立派な寺が建てられた時代背景、日本との意外な関わりについても知ることができました。


 日時  2015年9月15日(木)  9時半~11時45分
 講演会テーマ  ようこそドンラム村へ~わたしの村、わたしのしごと~
 講師  浅田南氏(JICA青年海外協力隊員)
 場所  ベトナム日本文化センター (27 Quang Trung, Ha? No?i) 

 青年海外協力隊やドンラム村について概要を紹介いただいた後、村の特産品の開発について詳しくお話いただきました。主力商品は「生茶クッキー」(ハノイ市内の日系土産物店で購入可能)、地酒、絵はがき(現在開発中)です。これらの商品を、村を訪れる観光客だけでなく大都市の人々にも買ってもらい、村人の収入と雇用を増やしていく取り組みで、クッキーでは実績を上げつつあります。村人が自分でよい商品を作っていけるよう自立を促すことも今後の課題です。また、歴代隊員は村で子供のための日本語教室を開いてきました。この日、幼い頃から村で日本語を学び、現在はハノイ市内の大学で日本語を専攻する女子学生さんがお手伝いに来てくれました。



 日時  2015年9月17日(木)  9時半~11時45分
 講演会テーマ  ベトナム農村の女性たち
 講師  加藤敦典先生(東京大学特任講師)
 場所  ベトナム日本文化センター (27 Quang Trung, Ha? No?i) 

 ベトナム北中部、ハティン省のある「むら」(※ここでは社(Xã)の下のソム(Xóm)という単位を指す)でフィールドワークをされてきた加藤先生から、女性達の生活の様子をご報告いただきました。「むら」の暮らしは他の多くの北中部の農村同様豊かではありません。住民の大部分が同父系の親族のため、新婦は「むら」の外から迎えます。1年の両親との同居を経て夫婦は独立、女性は家事・育児の他、農業、商売、祭祀、そして「女性連合会」の活動など、多方面で「むら」をつくっていく役割を担います。かつて社会主義台頭の時代、伝統的な寺院の破壊などからコミュニティの形も変化しました。今後は過疎化の進行などでさらに変化し、女性の生活も変わっていくでしょう。



 日時  2015年6月18日(木)  9時半~11時45分
 講演会テーマ  ベトナム語のはなし(2)
 講師  大西和彦先生
 場所  ベトナム日本文化センター (27 Quang Trung, Ha? No?i) 

 外国語を使いこなす第一歩は、短い文を覚え、反射的に口から出るようにすることです。まず日常よく使う疑問文と答え方、それに人にお願いする依頼文を練習し、使ってみましょう。
 覚えるべき例文は、自分の言いたいいことをネイティブの先生に伝え、作ってもらいましょう。それを日をおいて6回、繰り返し練習すれば身につきます。
 語学学習をつかさどる脳の海馬は、学習を続ければ衰えないことも証明されています。語学の習得に年齢は関係ありません。
 



 日時  2015年5月21日(木)  9時半~11時30分
 史跡めぐり  歴史博物館見学 第2回(2階部分) 
 講師  大西和彦先生
 場所  歴史博物館(1 Trang Ti?n , Ha? No?i) 

 1400年~1945年の独立宣言までの歴史、また中部~南部の文明チャンパ、南部に栄えたオケオ遺跡に関する展示物がある2階部分の見学を行いました。
 ホー(胡)朝(1400-1407)は技術革新の時代で、石造建築や武器製造の高い技術は明代の中国に伝わりました。また黎朝(1533-1789)、タイソン(西山)朝(1788-1802)では、貿易によってもたらされた日本産の銅が経済、そして王朝の興亡にも大きな影響を与えます。チャンパやオケオの展示ではインド文明の強い影響がまず目を引きますが、同時に中国文化や大乗仏教を摂取していた面もありました。
 数々の遺物を通して、中国や日本と相互に影響しあっていた歴史、また古くから東西文化交流の場所だったベトナムの重要性を実感できました。



 日時  2015年4月16日(木)  9時半~11時30分
 史跡めぐり  歴史博物館見学 第1回(1階部分) 
 講師  大西和彦先生
 場所  歴史博物館(1 Trang Ti?n , Ha? No?i) 
 

 石器時代~13世紀頃までの展示物がある1階部分の見学を行いました。
 ベトナムのシンボル・銅鼓や東南アジア最古の巨大な城、コーロア城の伝説、また、古代ガラスが特徴のサーフィン文化や青銅器文化であるドンソン文化、東アジアの広域な仏教交流を示す遺物などについて大西先生に解説していただきました。
 多くの国と陸続きのベトナムの文化が隣国からどの様に影響を受け、また独自に発展してきたのか、理解することができた2時間でした。



 日時  2015年3月19日(木)  9時半~11時45分
 講演会テーマ  ベトナム語のはなし
 講師  大西和彦先生
 場所  ベトナム日本文化センター (27 Quang Trung, Ha? No?i) 
 
アルファベットと数字のカード  
(2015.06 ?inh L? 通りの
書店で購入)

 大人の語学学習には、まず目的(国会で演説するのか?市場でマンゴーを値切るのか?)をしっかり設定することが大切です。習得すべき言葉を限定し、よい練習結果を得るためです。練習は反射的に言えるまで、数日おきに繰り返すのが効果的です。発音記号や声調、数詞の練習は市販のカードを活用。日本人の苦手な人称代名詞はベトナム語では大変重要な役割を果たすため、よく練習してください。
 通じさせる発音のコツは「母音をほんの少し長めに発音すること」。これはベトナム語の母音の多くが長母音であるためです。
 街角の看板で単語を復習したり、ベトナム人の発音を録音して真似したり、ベトナムにいるという環境をフル活用し自主的に学習をしましょう。



 日時  2015年1月15日(木)  9時半~11時45分
 講演会テーマ  ベトナムの旧正月テト  
 講師  大西和彦先生
 場所  ベトナム日本文化センター (27 Quang Trung, Ha? No?i) 
 
紙製のかまど神

 テトの行事は旧暦12月23日の竈(かまど)神の送神から始まり、竈神が不在中の家を守るのが魔除けの桃の花です。大晦日には家の中に祭壇を設け、新旧の年神の送迎が行われます。
 正月になるとベトナムの人々は互いの家を訪問し合います。最初に家を訪れる客は重要な存在で、主人の干支と相性のよい人物を選びます。ベトナムでは子供だけでなくお年寄りにもお年玉を渡します。
 今年の干支は中国や日本では羊ですが、ベトナムでは山羊。かつてはベトナムにも羊がいた痕跡がありますが、気候になじめず、17世紀にはいなくなりました。厳しい環境に耐えた山羊が残り、その繁殖力から多産の象徴ともなっています。




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