ロンドイソン寺
Chùa Long Đọi Sơn

~ 龍隊山にそびえた塔 ~

三関門
撮影:2014年10月30日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 

ハノイの南約50㎞、ホン(Hồng)河とダイー(Đáy)川、チャウ(Châu)川の三つの河川が交わる地点に、ロンドイ山(龍隊山)があります。ロンドイ(龍隊)とは、龍が群がるという意味です。(現在はドイ山と呼ばれます。)ハノイから1号線を下り、ハーナム省の省都フーリー(Phủ Lý)の少し手前を左に曲がり東へ向かうと、標高72の「龍の群がる山」が見えてきます。李朝時代、平坦な紅河平野を流れる河川の合流地点は交通の要衝であり、そこにそびえるロンドイ山は神聖視され、その山頂に仏塔が建てられたのです。李朝時代の寺は、塔を中心に建てられました。寺は15世紀初め、明(中国)の侵攻によって破壊され、グエン朝期に建て直され、1947年に再び破壊され、その後再建されました。 

300段の階段を登ると、各伽藍が、山の南斜面を利用した段差のあるテラスにそれぞれ建てられています。一番手前には祭りの時に使われるスペースが設けられ、少し階段を上がったところに、1121年に建てられた石碑「大越国李家第四帝崇善延齢塔碑」があります。高さ240㎝、幅224㎝の巨大なもので、碑文には、李朝第4代皇帝仁宗が舟で紅河を下った時にロンドイ山に関心を持ち、13層の大塔を建立したとあります。またこの石碑には、この地で水上人形劇が行われていたことが刻まれ、開拓民を惹きつけるために上演されたと考えられます。水上人形劇に関する記述としては最古のものです。石碑の土台には、李朝時代に大変好まれて使われたモチーフである、交差する2匹の龍が刻まれています。

更にその上の最も高いところに本堂があります。須弥壇の中央には、大変柔和な笑顔の弥勒菩薩が祀られています。本堂の背後には、准胝観音や、前レー()朝の初代皇帝レー・ダイハイン(黎大行:在位9801005)が祀られています。レー・ダイハインは、ホアルーの都からこの地を訪れ、ロンドイ山で田を耕す儀礼を行いました。これは大塔が建立される前のことで、この地が開拓されるべき所として李朝以前から注目されていたことがわかります。また、塔の発掘現場が保存され、発掘された瓦や、煉瓦の装飾などが展示されています。

山頂からはどこまでも続く平坦な田畑が臨め、李朝が開拓しようとしたこの地の重要性が実感されます。


1号線から左折し、東へ向かうと小高い山が見えてくる。
三つの起伏がある。
撮影:2014年11月20日、場所: 1号線とロンドイ山を結ぶ道、ハーナム省
 


 
門をくぐり、階段を登っていくと、田園風景が見えてくる。
撮影:2014年10月30日、場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 


  第一のテラスに設けられた建物(写真左)と、舞台のようなスペース(写真右)
撮影:2014年10月30日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 


    
「大越国李家第四帝崇善延齢塔碑」
撮影:2014年11月20日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
  


 
 上)「大越国李家第四帝崇善延齢塔碑」の文字と、両側には李朝時代の特徴を持つ、細くうねる龍
下左)力強い交差する2匹の龍が彫られた土台 下右)石碑側面の龍のレリーフは繊細で美しい。
右)水上人形劇の演目に関して述べた「浮金鰲以負三峰、水面夷猶」の文字が今も見える。
意味:金鰲(きんごう:金の大亀)浮かび以って三峰を負い、水面に夷猶(ためら)う」
 撮影:2014年10月30日、場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 


本堂
撮影: 左)2014年11月20日、右)2014年10月30日右)
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 


  
准胝観音
撮影:2014年10月30日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 
レーダイハイン
 撮影:2014年10月30日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省


  塔の発掘現場(写真左)と瓦などの遺物
撮影:2014年10月30日
場所:ロンドイソン寺、ハーナム省
 

 

参考資料:ハノイ歴史研究会第36回史跡めぐり参考資料「ロンドイソン寺」大西和彦








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