民族学博物館
Bảo Tàng Dân
Tộc Học
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撮影:2012年6月7日
場所:民族学博物館、ハノイ |
ベトナムには、全人口の約86%を占めるベト(Việt)族(キン族とも言われる。)から、400人程の少数民族まで、全部で54の民族が居住しています。それらの民族について知ることのできるこの博物館は、銅鼓をイメージした丸い建物で、館内の多くの展示物の他、裏手には11の民族の家屋が移築され、実際に家の中に入ることもできます。敷地は少し坂になっており、平野から山地へ進むイメージを持たせるように考えられています。坂の下には平野部に住むベト族、チャム族の家、上の方にはモン族など高地に住む民族の家が配置されています。54の民族は5つの語系に属し、館内1階に語系別に民族の写真と、その居住分布が地図で示されています。
① オーストロアジア語系
Ngữ hệ Nam Á , The Austroasiatics
オーストロアジア語系は、世界では1億ほどの人口で、約50の民族がいます。アジアの中でも特に東南アジアに多く分布し、ベトナムやカンボジアはこの語系の民族によって国家が設立されています。
ベトナムでは最も人口の多い語系で、ベト・ムオン語グループとモン・クメール語グループの二つがあり、25の民族が各地に居住しています。
詳細は、各民族名をクリックしてください。括弧内は2009年統計のベトナム国内でのおよその人口です。
ベト・ムオン語グループ
モン・クメール語グループ
② ターイ・カダイ語系
Ngữ hệ Thái – Kađai, The Thai Kadai
ターイ・カダイ語系は9千万以上の人口で、ベトナムや中国南部、ラオス、タイ、ミャンマー、インドの北東部に居住しています。この語系の多くの民族が中国を起源に持ち、かなり早い時期に南下してきました。ラオスやタイは、これらの民族によって設立された国家です。
ベトナムでは、タイー・ターイ語グループとカダイ語グループの二つがあり、タイー・ターイ語グループには8つ、カダイ語グループは4つの合わせて12の民族が居住しています。
③ モン・ザオ語系
Ngữ hệ Hmông -Dao, The Miao - Yao
モン・ザオ語系は、1千万の人口があり、ベトナムや中国、ラオス、タイ、ミャンマーに分布しています。モン族(人口約800万)とザオ族(人口150万強)がこの語系で最も人口の多い民族で、南中国から異なる時期に南下してきました。
ベトナムでは、モン族、ザオ族、パテン族の3つの民族がこの語系に属します。
④ シナ・チベット語系
Ngữ hệ Hán – Tạng, The Sino - Tibetans
シナ・チベット語系はアジア大陸で最も人口が大きく15億人ほどで、シナ語グループとチベットビルマ語グループに分けられます。この語系に属する各民族は、北方が起源で、紀元初期、15世紀、18世紀など、異なる時期に南へ移住してきました。今日では、中国、ラオス、タイ、ミャンマー、シンガポール、インド、バングラデシュ、ネパール、ベトナムなどに居住しています。
ベトナムでは、シナ語グループに属する3つの民族(漢族など)と、チベットビルマ語グループに属する6つの民族(ハーニー族、ロロ族など)の合わせて9民族が居住しています。
⑤ オーストロネシア語系
Ngữ hệ Nam Đảo, The Austronesians
オーストロネシア語系に属する民族は、主にインドネシアの島嶼部やマレーシア、フィリピン、シンガポールなどのほか、ベトナムやカンボジア、タイに居住しています。約150の民族があり、人口は2億5千万に達します。かつてベトナム中部にあったチャンパ王国、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどはこの語系に属する民族によって設立された国家です。
ベトナムでは5つの民族がこの語系に属します。
その他、博物館の風景
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屋外の庭は、坂になっている。
撮影:2012年11月17日
場所:民族学博物館、ハノイ |
中秋節の祭りの時は、
様々な伝統的な遊びが紹介される。
写真は、天秤棒を担いで竹の上を歩く遊び。
撮影:2014年9月6日(旧暦8月13日)
場所:民族学博物館、ハノイ |
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一年に一度、
クラフトリンク主催でバザーが開かれ、
各少数民族の様々な手工芸品が売られる。
仲の良さそうなモン族とザオ族の女性。
撮影:2012年11月17日
場所:民族学博物館 |
可愛いらしい少数民族の子供の像
撮影:2012年6月7日
場所:民族学博物館、ハノイ |
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2013年にオープンした新館・東南アジア館(Bảo Tàng Đông Nam Á)。
建物は凧の形のデザインで、”toà nhà Cánh diều”とも呼ばれます。
ベトナムには、凧が天と地の橋渡しをするとの伝説があります。
撮影:2014年4月6日 |
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このページ、また各民族のページの記述は、民族学博物館内の解説パネル、パンフレットを参考にさせて頂きました。
<住所> Nguyễn Văn Huyên , Hà Nội
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