フォーミン(普明)寺
Chùa Phổ Minh
~ 塔の寺 ~

 
 本堂の正面に立つ14層の塔
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省

 フォーミン寺は、美しい14層の塔で知られることから“塔の寺”(Chùa Tháp)とも呼ばれ、ハノイから南へ約70㎞のナムディン省に位置しています。史書によると、陳朝時代(12261400)の1262年に、天長府の重光宮(cung Trùng Quang)の西側に建てられました。陳朝時代、大越国(ベトナム)の都はタンロン(現ハノイ)でしたが、天長府と呼ばれる副都がナムディンに置かれていました。一方、碑文や鐘に刻まれた銘文は、寺は李朝時代に建てられたと伝えています。陳朝時代に、規模を拡大して建て直されたようです。フォーミン寺は、モンゴル・元を撃退し、またベトナム仏教教派の竹林派を設立した陳朝第3代皇帝仁宗(チャン・ニャントン)をはじめ、陳朝の王侯貴族の修行の場でした。その後、幾度も修復を繰り返してきましたが、現在も陳朝期の建築を見ることができます。

 塔は、陳朝第4代皇帝英宗(チャン・アイントン)によって、仁宗の遺骨を埋葬した上に建てられました。塔に使われている多くの煉瓦に興隆13年(1305年)の年号が記されていることから、その頃に建てられたことがわかります。三関門をぬけると、左右に丸い池が配され、その先に塔が見えてきます。塔は高さ17m、14層から成っています。台座と1番目の層のみ石で、それより上の部分は煉瓦で造られています。台座は蓮の花弁で囲まれ、その他、波、雲など陳朝期の特徴をもつ模様が見られます。
 もう一つ陳朝期のものとして残されているのは、本堂正面の中央扉に刻まれた龍のレリーフです。二匹の龍が菩提樹の葉をかたどった枠の中に描かれ、大変貴重なベトナム仏教美術作品であると言われています。現在寺にはレプリカの扉が設置され、オリジナルはハノイの国家歴史博物館で保管されています。

寺には、仏像の他、仁宗を始めとする竹林派の祖を祀り、また、この寺で出家した莫朝時代(15271592以後1679まで地方政権として存続))の皇女の石像も安置されています。塔の手前には、経柱や、寺や塔について記した2基の石碑があります。石碑は向かって左側が1668年、右側が1916年に建てられたものです。



  三関門
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
門の内側に配された一対の池
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
 


  
  14層の塔
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
 


 
  塔の台座を囲む蓮の花弁。繊細な雲や波模様も刻まれている。
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省


  
  本堂(右)と、龍が刻まれた中央の扉(左)(レプリカ)
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省


  
  本堂内部
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
  莫朝の皇女の像
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省


  
  1668年建立の石碑
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
経柱
撮影:2014年12月25日
場所:フォーミン寺、ナムディン省
 


 一対の龍が刻まれたフォーミン寺の扉(オリジナル)
2013年に開かれたベトナム仏教文化遺産展にて。
撮影:2013年5月4日
場所:国家歴史博物館、ハノイ
 
   




 所在地:ナムディン省ナムディン市ロックヴオン坊トゥックマック村
      thôn Tức Mặc, phường lộc Vượng, thành phố Nam Định, tỉnh Nam Định

 

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