フックカイン(福慶)

Chùa Phúc Khánh

   
本堂 須弥壇
撮影:2012年7月7日
 
 

 

   
タイソン通りに面した入り口。
仏教旗が掲げられている。
撮影:2012年7月7日
 
 

フックカイン寺はソー寺とも呼ばれ、タイソン通りのソー交差点の高架橋の袂、ドンダー公園の方から来ると右側にあります。通りに面した入り口には、赤い看板に「TỔ ĐÌNH PHÚC KHÁNH」と書かれているだけでわかりにくいですが、その両側ではお供物用の果物や線香が売られています。そこを入って行くと、思ったより広い空間に出ます。ハノイのお寺に時々見られるように、周りはびっしり民家に囲まれています。
 伝説によると寺はチャン()朝期(12251400)の終わり頃に建造され、15世紀頃にクアンスー(館使)寺が建てられるまでは僧の養成所でした。1796年にタイソン軍総司令官チャン・ヴァン・フォンの寄進した銅で、鐘と誕生仏を飾る九龍の像が鋳造されました。その鐘には、「戦火(ドンダーの戦い)で寺の大部分が破壊されたが、村人の献金と尽力により再建され、鎮国寺の僧が請われて住職になった」とあります。その後も修復を繰り返し、抗仏戦争でも破壊されましたが、建て直され今日に至っています。



       
フックカイン寺見取り図   

矢印に従って庭を抜けて、千手観音を祀る二層の屋根の亭、墓塔などの横を通って、本来の入り口だった三関門のある庭に回ります。三関門の中央の門には二階部分があり、鐘楼の形をしています。







      
千手観音を祀る亭
撮影:2012年7月7日
  


   
本堂仏像配置図


 
 

正面から本堂に入ると、逆「T」字形になっているのがよくわかります。図のように、中央部分は須弥壇に仏像が配置されています。前堂の左手前隅には前述の鐘があります。ほの暗い堂内で鈍い光を放つ荘厳な仏像の数々は、「福慶禅寺」の題額、それを飾る龍の透かし彫り、対連、鐘などと共に、歴史の重みを感じさせます。際立って目を引くのが、二体の護法の像です。威風堂々とした姿と細部の装飾の見事さに、見飽きることがありません。最上段の三世仏は、阿弥陀如来(過去仏)、釈迦如来(現在仏)、弥勒菩薩(未来仏)です。


   
「福慶禅寺」の題額と龍の装飾
撮影:2012年7月7日
 
 


       

撮影:2006年7月28日
 
 
撮影:2012年7月7日


        
護法
撮影:2012年7月7日
  


        
阿南陀   徳翁
撮影:2012年7月7日 


         
梵天または帝釈天  誕生仏 
撮影:2012年7月7日 


   
准胝観音
撮影:2006年7月28日
 
 


     
普賢菩薩(象に乗っている)  文殊菩薩(獅子に乗っている) 
撮影:2012年7月7日 


 
 左後ろから手前へ、阿弥陀仏、釈迦如来、准胝観音。
右奥は三世仏の弥勒菩薩(未来仏)
撮影:2012年7月7日

主要な像は、ベトナム芸術の中でも高い価値のあるタイソン(西山)(17881802)のもので、ジャックフルーツの木で造られています。

本堂の右奥は祖師堂につながっており、聖母、達磨、高僧などの像と五虎神官(聖母の眷族で東西南北・中央を護る)が安置されています。ここでいう聖母とは、中国から伝わった道教と万物に霊魂の存在を認めるアニミズムに基づくベトナム独自の宗教である聖母道の聖母です。祖師堂は入り口から入ってすぐの広い庭に面していて、出発点に戻ります。


   
達磨(中央)(祖師堂)
撮影:2012年7月7日
 
聖母(祖師堂)
撮影:2012年7月26日
 


 祖師堂を出て左手の建物には、この寺の住職で北部仏教界の発展に貢献した高僧の像があります。

          
高僧を祀ったお堂
この写真を撮影した日は旧暦6月8日で、
今年羅睺(らごう)という悪い星にあたる人が
厄除けのためにお参りに来る日とのことで、
 大量のバナナが置かれていた。
     2012年の星まわりを示した表。
生まれた年ごとに、どの星にあたるか書かれている。
男性と女性で星は異なる。
 撮影:2012年7月26日 




フックカイン寺は、19881116日文化情報省により建築芸術遺跡に指定されました。

<住所> 382 Tây Sơn, Hà Nội

<拝観時間> 7:0021:00 無休 拝観無料

 

参考資料: 『歩こうハノイ⑥ ドンダーの丘周辺を歩こう』 ハノイ歴史研究会 2007


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