歴史博物館  

Bảo Tàng Lịch Sử

 
 撮影:2012年8月2日

<歴史>

この建物がある一帯はハノイで初めてフランスに割譲された土地で、18761910年ここにはフランス領事館がありました。1910年には、ベトナム初の博物館がハノイに設立されましたが収蔵品が増え手狭になったため、1925年から7年かけ、ここに現在の建物が造られました。当時はルイ・フィノー博物館という名前で、フランス極東学院がインドシナで収集や発掘したものを保存・展示をする目的のものでした。ルイ・フィノーは初代院長で、経済援助をした人物です。1954年以降、現在の名前に変わりました。


<建物>

メインホールの塔にある八角形の窓の間には、極東学院のロゴマークEFEOが残されています。この建物は西洋と東洋の要素が融合された「インドシナ建築」で、この様式を考案したエルネスト・エブラール(Ernest Hébrard)の第一作目といわれています。

 
 八角形の窓とEFEOのロゴ
撮影:2011年12月2日

 
 三関門を模した正面
撮影:2011年12月4日

外装や窓枠はアールデコ調の装飾を施し、メインホールや窓は東洋の宇宙観「八卦」を表す形(八角形)になっています。軒下の何層もの梁と桁は日本やベトナムによく見られる寺院の木造建築を鉄筋コンクリートで再現、アジア特有の形をしています。またハノイの暑く湿気の多い気候を考慮し、収集品を保護するための工夫が施されています。例えば庇を二重にし、その間に空気孔を作り窓も多く設置。暑い日差しを遮りつつ採光と風通しをよくしています。また、博物館の入り口はべトナムのお寺の門によく見られる三関門を模しています。



 
 Nghê(ゲー)
撮影:2011年12月2日

中庭には寺院や城跡から発見された様々な像や石碑が置かれ、時期になるとプルメリアホアガオが咲き、見学者の目を楽しませてくれます。庭から眺めると、この建物の大きさや建築様式の特徴がよくわかります。よく見てみると外側に2本ずつ連なる円柱の間に、家の守り神である「Nghê(ゲー)」という架空の動物の頭が置かれています。


<館内>

 一階  原始時代から1400年頃までの展示

 二階  1400~1945年までと、中部チャンパ王国の彫刻の展示


 ベトナム最古の石器が発掘されたタインホア省はマー河を中心に早くからデルタが形成されており、ドンソン文化の発祥の地でもあります。そのため館内にはタインホア省から出土した品々が多数展示されています。ベトナムは昔から金や銀、真珠や香木などの産出国でした。また、季節風の影響で外国の船が辿りついたため、中国やインドだけでなく日本との交易も盛んでした。しかし、このように地形や産物に恵まれた国だった事が災いし、諸外国の標的となり、戦争と植民地の時代を繰り返していきました。そのため、この博物館には中国やフランスの植民地時代の品々はもちろん、諸外国から影響を受けた物が多数展示されています。




<開館時間> 毎日 8:00 ~ 16:30

住  所 1 Phạm Ngũ Lão, Hà Nội                  





参考資料: 『歩こうハノイ④ フランス租界地を歩こう』 ハノイ歴史研究会 2004



ハノイ歴史研究会トップページへ
 このページのトップへ



Copyright (c) 2011 Hanoi Rekishi Kenkyukai All Rights Reserved



inserted by FC2 system