水上人形劇 Múa
Rối Nước
ホアンキエム湖の近くのタンロン水上人形劇はハノイにかかせない観光の名所のひとつです。素朴でどこか愛くるしい人形が、簾の向こうで、しかも水の中で人の手によって操られている・・・初めて見たときは新鮮な驚きがあります。 水上人形劇の起源は古く、1121年に建立された碑文の中にその記述がみられます。最初は農民たちの娯楽として始まりました。各村々でその演目は違い、村独自の文化として育まれていきました。今日でもベトナム北部の農村地帯を中心に水上人形劇は残っています。(北部に24劇団、北中部に3劇団)
他にも様々な水上人形劇の起源説がありますが、そのひとつに徐道行(じょどうこう)信仰との関わりがあります。徐道行(?~1117)はハノイ郊外のタイー寺の僧侶です。徐道行は村々を巡り、水上人形劇の普及に努めたといわれています。今でもタイー寺の人形劇では<徐道行のおみこし迎え>という演目が残っています。徐道行信仰の重要な目的は降雨祈願です。稲作には雨は欠かせないもの。雨乞いの祈願に水上人形劇が農民の間で普及しています。 このように農村を中心に発達した水上人形劇が、その後宮廷で演じられるようになりました。その長い歴史の中で衰退の一途をたどる時期もあったものの、1956年、旧チェコスロバキアを訪れ人形劇に感銘を受けたホーチミンによって、ベトナム国家人形劇団が設立され、今日ではベトナムを代表する文化となり、ハノイを訪れる世界中の観光客を楽しませています。 人形の材料はイチジクの木を使います。材質が柔らかいため彫刻しやすく、軽いため水に浮く性質をうまく利用しています。人形を操作するのは男性に限られていました。糸の入った竹筒の先に付いている人形を水中で操作するには体力が必要なこと、他の村に嫁いでその技術が漏れるのを恐れたなど様々な理由で女性が人形を操ることはありませんでした。しかし時代の変化と共に女性も参加するようになりました。ウェットスーツの普及などもあり、水中での作業が楽になったことも大きな要因です。昔は寒さと冷えを凌ぐためにヌォックマムを塗ったと伝えられています。 人形を操る建屋は、以前はベトナムの湖や池に築かれた代表的な建物の水亭を模したものでしたが、現在は、遷都千年祭の影響でハノイのシンボルである文廟の楼門、奎文閣をイメージして作られています。上に祭られているのはホアルーから都をハノイに移したリー(李)朝の皇帝、リータイトー(李太祖)(在位1009~1028)です。
素朴で豊かなベトナムの生活を彷彿させる民族学博物館の人形劇、今の時代にあったエンターテイメント性の高いタンロン劇場の人形劇、どちらも鑑賞するとおもしろいと思います。一度足を運んでみませんか。 57 Đinh Tiên Hoàng, Hoàn Kiếm, Hà Nội 04-3824-9494 上演時間 9:30(日曜のみ),14:15, 15:30, 17:30, 18:30, 20:00, 21:15 Nguễn Văn Huyên, Cầu Giấy, Hà Nội 04-38360-352 上演時間 土・日曜日 10:00, 11:30,
14:30, 16:00 (どちらの劇場も時間帯は2011年11月現在) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ハノイ歴史研究会トップページへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
このページのトップへ |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Copyright (c) 2011 Hanoi Rekishi Kenkyukai All Rights Reserved |