タ・ヒエン通りは、ハンブオム通りからハンバック通りまで南北に走る狭い路地です。車は進入禁止で、天秤棒を担ぐ人が行きかっています。
ここはかつて劇場街で、古典劇トゥオンやカイルゥォンを上演するクアンラック劇場が1910年頃建てられ、人々はクアンラック小路と呼んでいました。またこの通りには貧しい華僑が住み、中国の武将サム・ギー・ドン(1789年にドンダーの戦いで戦死)を祀ったサムコン亭があったため、サムコン小路と呼ばれていたこともあります。今はこの亭はありません。仏領時代はジェロー通り(Rue Géraud)と言われましたが、1945年の独立後に、抗仏運動の指導者の一人タ・クアン・ヒエン(謝光現)の名が付けられました。
2階建ての長屋が続くタ・ヒエン通りは、2011年に、フランスのトゥールーズ市の援助を受けて、ルオン・ゴック・クエン通りと交わる所から50mほどの部分の建物が、20世紀初めの状態に復元され、石畳が敷かれました。通りの西側と東側では建築様式が異なり、西側の偶数番地はベトナム式、東側の奇数番地がフランス式の建築になっています。
※ トゥオンは、13世紀に中国からもたらされ、主に宮廷で演じられた古典劇。カイルゥォンはトゥオンをもとにして20世紀初めに創りだされた歌舞劇。西欧の要素も取り入れられた。
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