ベトナムの旧正月テト
竈(かまど)神の送神
Lễ ông táo lên trời

 
 旧暦12月23日、竈神の冠と靴を、お酒やおこわなどと共にお供えする。
撮影:2013年2月3日

かまどの神様は、台所の神様と家の守り神を兼ねた、中国起源の神様です。旧暦1223日に天に昇り、その家で一年間にあった良いこと悪いこと全てを天の神である玉皇上帝に報告し、大晦日の30日に戻ると伝えられています。数週間前から、紙でできた冠と靴が三つずつ入ったセットが売られ、人々は家の祭壇に供え、23日に燃やしてその灰と、生きた魚を湖や川に放します。かまど神は魚(鯉)に乗って天に昇ると考えられているからです。


      
 テトの数週間前から
紙製の冠と靴のセットが売られ始める。
場所:ドイカン(Đội Cấn)通り、ハノイ
撮影:2013年2月1日
三つの冠と靴と魚がセットになっている。
撮影:2013年1月16日 


    
 旧暦23日、家の祭壇に供え、
線香をあげて拝む。
(筆者の家の近くのコムビンザン(大衆食堂)で、
撮影させてもらった。)
場所:キンマ(Kim Mã)通り、ハノイ
水、お酒(小さい三つのコップ)、
ガック(gấc)のおこわとゾー(giò)というベトナムのハムが
一緒に供えられている。 
撮影:2013年2月3日 


    
お供えが終わったら、燃やす。  灰の上からお酒をかける。 
撮影:2013年2月3日 


 お供えした物は後で頂く。これを頂くと、健康などご利益にあずかれる。
左はガック(gấc)のおこわの間に緑豆をはさんだもの。右はゾー(giò)と呼ばれるベトナムのハム。
撮影:2013年2月3日


     
 旧暦23日には、竈神のための魚が市場で売られる。
撮影:2012年1月16日
魚を湖に放す親子。
撮影:2010年2月6日 


   
 灰が流された湖の様子。
(伝統的習慣は大切だが、多くの人が灰をを流すため、
毎年この日、湖はこのような状態になってしまっている。)
撮影:2013年2月3日
 



かまど神の伝説 

昔、ティニー(Thị Nhi 妻)とチョンカオ(Trong Cao 夫)という二人の貧しい夫婦がいました。ある日二人はけんかをしティニーが家を出ていきますが、その後妻は再婚し裕福に暮らしていました。チョンカオは後悔して妻を探しに行きますが、疲れ果て、偶然ティニーの家に物乞いにやってきました。元夫婦は抱き合って喜びますが、そこへ現在の夫ファムラーン(Pham Langが帰ってきました。妻はチョンカオを、堆肥にするために積んでおいた藁の中に隠しました。それを知らないファムラーンは、藁を燃やして肥料にしようと火をつけました。チョンカオは、今出ていっては妻に迷惑がかかると思い焼け死のうとします。藁から出てこないチョンカオを想い、妻は藁の中に飛び込みます。事情はわからないが、愛する妻が火に飛び込むのを見てファムラーンも後を追って飛び込んでしまいます。愛のために命を落とした三人の姿を見て、天の神は三人を神にしたのです。かまどの神様は、ティニーとチョンカオとファムラーンの三柱です。




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