文廟

Văn Miếu

 第一区

 
 文廟門
撮影:2009年11月9日


 文廟門は、ベトナムの仏教寺院でよくみられる二つ屋根の三関門で、後レー()朝後期(1718世紀)に木造から石造りに建て替えられたものといわれています。中央の門の右側には、昇り龍のレリーフがあります。龍は特に吉運とされ、儒学者の成功や幸福を暗示し、科挙合格者の進士(tiến sĩ)のシンボルにもなったそうです。現在でも、博士号取得者はtiến sĩと呼ばれています。ハノイはかつて、タンロン(Thăng Long)と呼ばれていましたが、この言葉の意味も「昇り龍」です。中央の門の左側には、山から降りてくる虎のレリーフがあります。虎は力と権力を暗示し、挙人(cử nhân)のシンボルでした。挙人とは、進士の試験を受ける資格を得た人のことです。現在では、大卒者をcử nhânと呼んでいます

     
 虎 昇り龍 
撮影:2012年12月20日 

後黎朝の第五代皇帝レー・タイントン(黎聖宗 Lê Thánh Tông)は優れた儒家で、儒教と道教を信仰し、儒教を国の基本としました。前出の洪徳版図もこの王の時代に作成されました。文廟門の中央の門の入り口にあるのは、後黎朝時代の一対の龍の石の彫刻(15世紀)です。門を通り内側に入ると、今度は阮朝時代(19世紀)の猛々しい龍の石の彫刻があります。同じ龍のモチーフでも時代によりかなり様子が違います。

      
 後レー朝の龍の彫刻
撮影:2009年3月13日
 阮朝時代の龍の彫刻
撮影:2008年12月24日


 ここで内側から文廟門の上の方を見上げてみてください。孔子を中心に四人の弟子達の姿が小さく彫られているのがわかります。まるでこちらを見守っているかのようです。

   
孔子と四人の弟子
撮影:2009年11月9日
 
 


 中央の門から真っすぐ伸びる道は「皇帝の道(
Hoàng Đạo)」と呼ばれ、バッチャン焼きのレンガが敷かれています。この中央の門は、かつては、文廟で儀式が行われる時以外は閉じられ、王や高官だけが通ることのできた門でした。他の人々は、現在は閉まっている左右の小さな門から出入りしたそうです。左右にある小道は近年整備され、外側にそれぞれ長方形の池があり、季節になると、美しい睡蓮の花を楽しむことができます。中央の道を進むと、「大中門」に到着します。

   
 皇帝の道
中央奥に見えるのが「大中門」
撮影:2011年7月28日
 


   
 撮影:2008年12月24日  



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